****年4月18日のシンポジウム


 ********主催により、消費者保護法の改正内容の説明会がありました。その内容をアップします。



シンポジウム(Symposium)
英会話学校と消費者保護法(Language Schools and Consumer Law.)
(主催 ********)
***青少年中央会館

1.**テレビで放映されたビデオの紹介
  ****を名指して「問題のある事業者」として放映している。

2.*****氏の報告(******* ** スタッフ)

訪問販売方改正案
割賦販売方改正案
  消費者契約法 4月17日に国会で成立した。
対象は英会話教室、エステ等。
 通常、商取引というのは販売側も購入側も同等に扱われるが(民法上)、今回の法改正で購入側(消費者側)により多くの権限を与える。
 大きな権限は、中途解約権である。将来にわたって買う契約をしたものをキャンセル出来る権限である。

・特定継続役務業務
 体を美しくする、知識を得る、技術を習得する等を目的とし、その役務の性質上、結果が確約できないものが対象の業務。
 美容外科のように確実に変化があるものはこの法律の対象外。



以下の項目について規制される。


業者側の規制

a販売をしている中身について明確に説明している文書を見せなくてはいけない。また、書面で契約書を作成しなくてはならない。消費者が求めたときは会計報告等を説明できるよう、書面を用意しておいて渡さなくてはならない。
(現在、公認会計士を入れて会計報告を持っているのは****だけである。)
公開しなくてはならない項目は次の2項目が候補としてあがっている。(今後省令で定められる予定)
・会社の業務内容
・会社の財産内容

b誇大広告の禁止。

c嘘を言ったり脅したりして、人に無理に買わしてはいけない。

d上記の項目に違反した事が判明した場合は通産大臣は1年間の業務停止を命じる。


消費者側の権利

e書面で契約を交わしてから8日以内なら無条件で解約できる。業者側は一切の損害賠償を請求しては鳴らない。

f8日を超えてからは書面を示して途中解約が出来る。この時、業者側からの損害賠償については、実際に必要だった費用以上は請求できない。
 レッスンを始めていない段階については手続きに必要だった費用だけ。未来のレッスンに対して準備をしたからと言ってその分の一部を損害賠償として請求してはいけない。

gローン会社が間に入る3者契約について
 割賦販売方の改正は、消費者が契約を解除した場合は、ローン会社との契約も自動的に解除され、貰いすぎている場合は返金をしなくてはならない。


上記に違反した場合、窃盗、傷害等と同程度の刑罰を受ける。

個人に対して
 懲役2年以下 又は 300万円以下の罰金 又はその両方。

会社に対して
 一年以内の業務停止 又は 3億円以下の罰金


法律に盛り込まれなかった問題点

・一年を超える契約についての規制が無い。
 大量のチケットを買えば安くなるため、2年3年分のチケットを販売するという事態が無くならない。
 ただ、中途解約の規定がうまく機能すれば、被害は少なくなるかも知れない。

・上記のfの部分について
 半分レッスンを受けて解約をする場合、果たして半分のレッスン料が帰ってくるだろうか?
 買う場合は割引があるが、返金時に関しては、受けたレッスン分を割り引き無しで計算して請求してかまわないという事がかっこ書きで書かれている。
 ***でのケースの紹介
  一度に200ポイントを購入すると割引で1ポイント1000円になるが、100ポイントの購入だと1ポイント2000円になる。つまり、200ポイントを20万円で購入、半分の100ポイントで解約を申し出ると、使用した100ポイント分については割引のない単価で計算されるため、結局、使用したのは20万円という事になり、実質解約金は0円になる。


・お金を取り返すといった事に対して、どの程度有効かはこれから。
 中途解約に関しての払い戻しについては、通産省は業者側の権益を守ったと言える。

・消費者側がうまく使えば、有効な法律になりえる。


スタッフ側の問題点

・先生達の待遇が良くなるか悪くなるかはまったくわからない。
 業者間の競争が教育の質をめぐったものになるかどうか分からない。質で競争する事になれば先生達の待遇も良くなるだろうが、罰金や業務停止を恐れて上達を約束しなくなると質の低下につながるかも知れない。
 しかし、質の向上をしたスクールがうまく伸びれば教育の質での競争になるだろう。


・情報開示については触れられていない。唯一書かれているのは、業務停止処分にした時には発表するという事だけ。消費者センター等に苦情が入ってくる業者の名前等は相変わらず公表されない。

・業者の評価をする団体を育成するという項目がある。日本でどの程度定着するかはわからないが、今後いくつも出来てくるかも知れない。

法律の中のひとつの問題点
 今回の法律の対象になるのは民間のスクールだけで、学校法人の資格を持つ専門学校等は対象外。
 そのため、専門学校は自由に授業が出来て、民間のスクールは規制に縛られるため、先生達の待遇は悪くなる事が考えられる。


3.****(*******被害者の会)

4月、*******が倒産してから、*******被害者の会の初めの活動は、正確な情報を生徒に知らせる事から始めた。

6月、*******側の弁護士からの説明会を受け、活動方針として次の3つを決めた。
1 経営者の責任追及(告訴を考える)
2 同業他社等による未受講分の振り替えレッスン
3 自分達で英会話を習う場を提供する


1について
 倒産自体は違法行為では無い。また、違法行為が証明されてもお金が返ってくることはまずない。裁判にはお金が非常にかかると言うことで、告訴は断念した。

2について
 破産管財人の弁護士、被害者の会、********等の働きかけにより、****,***,****の3校が約2000名を受け入れてくれた。

3について
 ********の協力で自主レッスンの会を立ち上げる事が出来た。

その他
 生徒達に対して詳細なアンケートをとった。その中から見えてきた事。
・被害額は平均**万円。
 やっぱりつぶれたかという人もいた。
・経営者に対する怒り。
 学校によって非常に格差があったが、スタッフに対する怒りもあった。
・約半分の生徒がこの事で語学の勉強に対する意欲をそがれてやめてしまった。
・社長に謝って欲しいという事があったが、債権者集会にも社長が来なかったため、抗議 文を社長に出したところ、自分がどれだけ私財をなげうって努力したかが切々として書かれてあり、最後に一言、謝罪文があった。
・振り替えレッスンを望む中で、大手がいいという人はあまりいなかった。
・責任追及は出来ないが、監督官庁(通産省)に対して要望書を出すのがいいのではないか。
(要望書についての説明あり。)
・今回の改正案については一応、評価できると思う。特に中途解約について。******の場合、中途解約が認められなかったので、被害が大きくなった。
 経営状態も要求すれば見る事が出来るようになったが、自分達消費者が賢くならないといけない。


4.*********(********)
 自分は、********の事務所に詰めているので、いろいろな先生からいろいろなスクールの情報が入ってくる。
 自分達は先生の立場を守る事を考えて活動をしている。
 しかし、***の倒産等、生徒や先生の権利が守られないのを目の当たりに見てきている。*******や***の生徒会が出来る以前から先生と会社側との争議に生徒が応援してくれるといった事があった。
 消費者法をみて思ったが、今まで先生、スタッフ、生徒が一緒になってやってきたのに、この法律のせいで対立関係になるのでは無いかと心配している。
 ********がどう関わりを持つかという事に関して。
 ********はこの業界で唯一の組合であり、多くの先生がこの組合で一緒に働いている。
 生徒、先生が今回の法律に対してどのように関わるかで良くも悪くもなると思う。この法律によって、授業の質を経営側に責任を持たせる事が出来れば、生徒のためにも先生のためにもなる。
 しかし、会社側が主導権を持ち、英会話の上達は保証しないなどとなってくると生徒のためにもならないし、働いている先生も楽しくなくなってくるのではないか。
 この法律によって一番大きな影響をもつのは、生徒がいつでも中途解約が出来るという事である。特定の先生に対する苦情という形で生徒が中途解約をすれば、その先生が首になるということも考えられる(***で一件あった)。***では組合が結成されるまでは常に先生が首になっていた。生徒から苦情が出たら、すぐにその先生は首になっていた。 先生達の入れ替わりが激しいのと、働いていてもいつ首になるかわからないので、不安なので耐えられなくなり、自分でやめていく先生もいた。結局その会社もつぶれた。
 ***では中途解約は認められていて、システムがあったにも関わらず最後は先生の給料も出ない、生徒の返金も出来ないまま倒産した。
 中途解約が出来るという法律が出来たのはいいことだが、その事が即、授業の質が向上するという事ではない。
 英会話教室のスタッフの給料は、多くの場合、歩合制になっていて、レッスンを売らないと給料があがらない。
 もし、販売したレッスンが気に入らなくて中途解約をした場合、その責任を誰が負うのか。販売したスタッフが歩合を返すのか、会社が責任を負うのか。
 先生は生徒側にたって仕事をしている。この法律によって、先生の生徒に対する見方が変わってくるのではないか。先生達は生徒に対して協力的だったのに、仕事の事が心配で生徒の事が考えられなくなってくると、経営者側が実権を握る事になってしまう。
 生徒からの苦情があって、先生が首になっても、組合側は先生だけが悪いのではなく、会社側にも責任があるのではないか、雇っても研修をしないでおいて、先生が悪いといえるのかと考える。
 生徒側でもレッスンに不満があったら、会社側に研修をどうしているか、聞いて欲しい。 広告には嘘がある場合が多く、一例では、先生として応募してきても、そのうち1〜2%しか受からないというような事を書いている所もある。
 次に教育の質が問題になる。****等は用意されたレッスンパックがあり、先生は一日7時間、単にそれを教えるといっただけである。そういったレッスンの場合、各先生の力が発揮できない。****のシステムがそのまま授業の質になる。そのレッスンパックから離れたレッスンをする時間もないし、用意する暇もない。このようなレッスンで内容に苦情が来た場合、先生のせいではなく、そのレッスンシステムが悪いのである。
 *****が能力給を導入する。そのために、チェックシートが用意された。その内容を見ると、レッスンの内容が楽しかったか、レッスンを楽しめたか等の欄があるが、考えてみれば、そのレッスンの教材を用意したのは会社側であり、先生のせいではない。
 しかし、そういった事を理解して、その上で評価制度を質の向上を目的として使うのならいいが、先生の労働条件を悪くするために使われるのは問題だ。
 だれでも自分の仕事はいい仕事をしようと考えている。しかし、前もって用意されているレッスンパック等で授業をしているうちは先生達が自分の授業を良くしようと努力する場がほとんどないので、質が向上していかない。もっと先生側に柔軟に判断できるようになっていかないと、質の向上は望めない。生徒のほうも、簡単にキャンセル出来るからとあちこちの英会話教室を渡り歩くような事にもなりかねない。レッスン内容が良くないと思っても、すぐに解約するのではなく、研修がどうなっているんだ等、会社側にどんどん疑問をぶつけていく事がよいレッスンを作っていくことになると思う。
 組合側としては先生達の労働条件を良くして、レッスンの質を良くしようと努力をするが、限界がある。今回の法律改正で生徒が経済的に大きな力を持つようになるので、先生と生徒のコミュニケーションをとりながら努力していくことが大切。
 しかし、実際、英会話教室の生徒達というのはバラバラなので、どこに言っていけばいいのか等という問題があるので、今後、考えていかなくてはならない。

5.その他
 
・今回の法律の改正について、どのようにみんなに知らせるのか?
 会社側にそれを知らせる義務は無い。守らなくてはならないという義務があるので、違反があれば消費者が訴える事が出来る。周知に関しては国民消費者センターがあたるのではないか。どこに訴えにいくかについては、今後の事になるが、通産省の下働きをするような半官半民の組織を作るのではないか。今後、省令で定められるはずである。
・今後、この法律を破った会社が出た場合、消費者が訴えないとだめなのか、定期的になんらかの調査が入るのか。
   何らかの団体を作るとはいっているが、過去の日本の現状から見て、たぶん、消費者から訴えないと動かないと思う。(立ち入り検査が出来るという法律は出来る)
・組合として、生徒にビラを配って知らせるのがいいのか、道行く人にビラを配るのがいいのか・・・。

6.最後に

 安さだけで英会話教室の評価をしている。そうではなく、質を評価していく事をしていく必要がある。

 倒産の被害を少なくするために基金を積み立てる等といった事が必要かも知れない。
みんなに何故、英会話を習うのかと聞くと、友達を作るためだというような人が結構、多かった。コミュニケーションの手段として英会話を習っている。生徒と先生のコミュニケーションがうまくとれ、楽しいレッスンが出来るようになれば、質の向上も望めるのではないか。

 法律が出来ても、ほっておけば会社は守らないだろう。労働基準法の事でも、組合が何度言ってもなかなか守られない。
誰かがプレッシャーをかけなくてはならない。それが組合であり、生徒であり、訴えていかなくてはならない。しかし、生徒の組織というのが無いので、組合がある程度やらなくてはならない。
組合として、給料の遅配などの情報が入っても、組合として言うわけにはいかないが、生徒の組織があれば、そこにいって、一緒に会社に訴える事が出来る。


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