ドイツ・シュトゥットガルトへ


 東駅につくと、取り合えずインフォメーションを探した。さすがに国際列車がでるだけあって大きな駅である。といっても、新大阪より小さいが。



 これが外観。パリの建物にふさわしく石造りである。
 余談だが、この駅前にライフルや拳銃をショーウインドウに入れて売っている店があった。拳銃が日本円にして8000円ほど。中には実弾(だと思うのだが)も並べてあり、改めて日本とは違う事を認識する。



 これが中である。左側の看板の下にカウンターだけの店が並び、その間にホームに抜ける通路がある。改札は無い。多くの乗客が荷物を床において列車を待っている。


 インフォメーションで列車の予約書を見せ、どうやって乗るのかを聞いた。チケットを一通り見た係りの女の子は「何が知りたいの?」と聞くので、「ゲートナンバーが知りたい。」と言うと、「まだ分かりません。15分前には表示が出るので、それでチェックしてください。」と言われた。一抹の不安が・・・。
 日本で乗っていると15分と言う時間は充分すぎるほど長いが、英語で表示が出た場合、まず一目では見つからない。実はここに来る前にすでにボードはすべてチェックして、それらしき列車に当たりはつけていたのだが、英語どころか、フランス語で表示が出ているため、予約チケットに書いてあるアルファベットと違うのである。他のボードにも紛らわしい列車があり、確実にこれと行った物が欲しくてゲートナンバーを聞いたのだが・・・。
 まあ、仕方が無いので、今度はユーロパスとパスポートを渡してパスの使用開始の手続きをしてもらう。使用開始日と終了日、パスポートナンバーを書き込んでもらうと(パスポートナンバー以外は自分で書き込むと無効)列車に乗る前に今度は自分で使用日を書き込む。まだ1時間半以上も時間はあるが、すでに動く気はしない。あたりをつけた列車のボードが見える位置にまわりの乗客を見習って荷物を置いて地面に座り込む。ボード上の数字やアルファベットと予約チケットの表示を見比べながら、発車時刻以外に確証は無いか探す。ようやくチケットの中にトレインナンバーというのが書いてあるのが分かり、ボードの列車と一致したため、ホッとして持って来た推理小説を取り出して読み出した。ボードの表示は列車が出るたびにひとつずつ繰り上がっていく。
 発車30分前、空いていた右端の欄に「5」の文字が出てやれやれである。この文字が出た時にはすでに列車はホームに入っている。ホームに入って初めて表示を出すようだ。列車の中で食べるため、サンドイッチとサラダ、それと水を買い込み列車に向かう。


 これが乗車するEC67。手前に見えているのがディーゼル機関車である。まだ電化されていない区間を走るため、電車では無い。遅れているな〜って?日本とは事情が違うのです。(また後で)
 予約チケットを持ってホームにたたずむ駅員さんにどの車両に乗ったら言いか聞く。
 この車両から数えて6つ目という話だった。
 ここに写っている車両は2等車で、僕は贅沢をして1等車を取っていたのだ。



 これが1等車の中。左に見えるガラスの中に3つずつ2列、6人分の座席がある。僕の席は通路側だった。1等にしてよかったと思ったのが、荷物の事である。たまたますぐ後ろがトイレでもあり、その面でも良かったが、旅行に出る前はトイレにも荷物を担いでいく必要があると思っていた。しかし、同じコンパートメントに乗り込んだのは後2人。2等車なら回りに一杯人がいて、荷物も座席の前にしか置けない。しかし1等車は頭の上に載せる棚がある。乗っている人もまず大丈夫だろうし、何かを取る気になっても荷物を降ろすだけで一苦労だ。(あげるのに苦労しました。(^^; )それに圧倒的に人が少ない。途中の区間ではこのコンパートメントに僕一人という時間が1時間以上もあった。おかげで快適な旅をエンジョイできた。

 列車が走り出す。約6時間の旅だ。しかし、外人は自分の荷物はちゃんと守るとか聞いていたが、僕の前の席の人はカバンを席に置いたまま消えてしまった。多分、食堂車がついているので、そこでいるのだろうが、3時間もである。降りる直前になってやっと取りに来た。ちょっと拍子抜けである。
 列車はパリの東駅を出ると、次の駅はNancyというもうドイツとの国境に近い所である。そこまで3時間、停車駅無しである。
 電化していない区間があると言ったが、この間のほとんどは人家も何も無いただの原っぱである。つまり、電車用に変電所を作ってもそこに電力会社が送電線を作ると、莫大な負担になるのだ。日本なら他にも送っている所から分岐すればいいし、なまじ発電所から直接持ってきても、時速200km以上で走る列車が3時間も止まらない程離れてはいないだろうから必要なコストが全然違う。

 Nancyからは国境に沿って一旦、北に向いて走る。いくつかのフランス国内の駅に停車して、いよいよ国境駅だ。フランスに入国カードを提出していないとは言っても、空港のようにコンピューターを使ってチェックするわけではないから大丈夫だろうと思っていると・・・。
 国境駅で2人の係官だと思うのだが、制服を着た人が乗り込んできた。1等車の廊下を横切り、そんなに時間無く列車が発車した。1分ほども停車していなかった。まあ、係官が乗り込んだのだから次の駅までの間にチェックするんだと思っていたが・・・・・・?????。
 そう、結局、な〜んにも無かったのである。列車は何事も無くドイツ国内の駅に停車をしながら先に進む。ガイドブックには「パスポートをチェックする程度」とかかれているが、廊下を歩いて過ぎただけだ。もしかしたら、係官でさえも無かったのかも知れない。国境はどこにいったんだ〜!


 いよいよ次がシュトゥットガルトだという所まで来た。荷物を整え、最後の15分は立って窓際で緑豊かな景色を楽しもうと思ってコンパートメントの窓際に立つ。これが30分になるとは思っていなかった。そう、15分、遅れたのだ。(^^;
 駅を出るとすぐにインフォメーションを探す。改札は当然、無い。次の日から電車で移動を予定しているので時刻表を手に入れようと思ったのだ。しかし、「I want to time teble.」と言っても通用しなかった。「あなたの英語は分からない」と言われてしまった。要するに、どこに行く時間が知りたいのだと言うような事をしつこく言われた。僕はタイムテーブルが欲しいのだと言ったのだが、この駅からどこに?と聞いてくる。6ヶ国語会話の本を出して時刻表の単語の載っているドイツ語を指差すと、時刻表を出してきてひろげ、「これがここからの時刻表で、駅から駅へという形で書いてある。どこに行くかを知らせてもらわないと調べられない。」と言う。僕はその本を指差して、「これが欲しいんだが」と言うと、「どうぞ」と手に入った。
 考えてみるに、時刻表のことを Time Teble と訳しているが、もしかして列車の時間の事を指すのでは無いだろうかと思った。だから時刻表が欲しいと言ったのに、列車の時刻を知りたいのかと勘違いされたのではないだろうか。よく分からないが。

 時刻表を手に入れた後は今度はホテルだ。旅行会社の人が「駅前だからここは迷わないでしょう」と言っていたが・・・駅を出て周りを見渡すが・・・・無い・・・無い・・・・。えーっと思いながらもう一度駅の中に戻る。貰った地図と見比べながらふと顔を上げると、目の前の壁に大きく看板が出ていて、右に矢印が・・・。矢印に従っていくと、なんと駅の構内にホテルのフロントへの入り口があった。何の事は無い。駅前どころではなかったのである。



 これがホテルの入り口。なかなかグッドな雰囲気。部屋は1階〜3階までしかなく、各階が60室程度の横に広いホテルだ。さすがに駅の構内に入り口があるだけあって、機能的な感じのホテルである。



 これがホテルの中。パリのホテルより広く、クローゼットもあり快適そうだ。何せ5泊するのだから、クローゼットはせいぜい活用しなくては。

 シュトゥットガルトという街はベンツやポルシェの本拠地である。ドイツの中でも大きな方に入る。しかし、道路も広く、人通りも静かで(一部の繁華街は別だが)パリの騒がしさにうんざりしていた僕はホッとした。しかし、ここで大変な事に気が付いた。荷物を整理していると、るるぶのドイツ版とユーレイルパスが無いのである。これはショックだ。るるぶはまだもう一冊個人旅行と言う観光案内を持っているので大丈夫だが、ユーレイルパスは・・(;;)。
 まだ5日のうちの1日しか使用していない。ファンタスチック街道の観光は諦めないといけないのか・・でもバーテンバーテンだけは行きたいし・・・。
 とりあえず、次の日はホテルでくれたパス(このホテルに宿泊すると、シュトゥットガルト市内の地下鉄やバスはフリーになるらしい)でいける範囲に行こう、忘れたとしたらフロントかインフォメーションだから、フロントには朝、聞いてみようと思い、とりあえずは寝る事にした。



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