ハイジの世界


 ハイジの物語は、マイエンフェルト近郊の実在の場所がモデルになっているという。似合わないと言われるかも知れないが、それを見たくて今回、強引にこのマイエンフェルトに来たのだ。1時間半ほどのハイジの冬の家までたずねる短いコースと、アルムの山小屋まで行く5時間程度のコースがあった。体力的には不安だったが、僕達はアルムの山小屋を訪ねる長いコースを行くことにした。弁当代わりに途中のパン屋さんでサンドイッチと牛乳を買い歩き出す。最初が分かりにくいが、親切な英語の全然分からないおばさんが間違った方に行きそうになっていた僕たちを呼び止め、身振り手振りで道を教えてくれた。
 とにかく素晴らしい緑の景色が続くマイエンフェルト。やがてドイツ語・英語:日本語ともう一ヶ国語でかかれた「ようこそ、ハイジのオリジナルハウスへ」という看板を見つけて、ハイジの冬の家へ着いた。


 これがハイジが冬場に里で過ごした家。右の柵の中にはヤギがいる。中の見学には入場券がいり、近くの売店で買うのだが、着いたのが9:30で、売店が開くのが10:00からなのだ。息子が中を見たいというので、帰りによることにして先を急ぐ事にした。小屋とヤギのいる柵の間の道を通って山に上がっていく。


 とにかく、素晴らしい景色が続く。しかし、マイエンフェルトの街から標高にして600m程あがるため、結構しんどい。休み休みしながら上がっていく。ペーターの小屋は結局、分からなかった。やがて広い牧草地の上に小さな「アルムの小屋」を見つけた。

 これがアルムの小屋。なんか、見た事ありません? (^^)
 おじいさんが二人いて、一人はハイジのおじいさんを意識した格好をしていた。
 コーヒーを頼む。ぬるめのお湯が入ったポットとインスタントコーヒー、砂糖、ミルクとスプーン、カップを出してきて外のテーブルへ並べる。要するにセルフサービスなのだ。壁には日本語も書いてあり、「おたべ」の広告もあった。話していると、「おたべ」は日本のレストランの名前だと思っているらしい。食べ物の名前だと教えて、京都の食べ物だといったら、最終的に向こうが理解したのはどうやら、「キョウトというレストランで出てくるデザートがおたべ」という事らしい。僕の英会話力ではそのへんが限界らしい。(^^;
 持って来てくれた寄せ書き帖を見る。数少ないが日本語でも寄せ書きがあった。僕達も一応、名前は書いてきた。でも、全体に数は少なく、ほとんどの人は冬の家までしか来ず、ここまで上がってくるのは小数のようだ。
 5SF払って荷物を担ぐ。これから反対側を回るコースに行くというと、コーヒーを持っていくか?といってくれた。でも、水は持ってきているので、ありがとうといって、小屋を出る。



 とにかく素晴らしい景色が続く。スイスはどこで写真を撮っても絵葉書のようだと聞いていたが、本当にそうだ。つくづく、きてよかったと思う。

 再度立ち寄ったハイジ冬の家でヤギの餌をやる。冬の家もアルムの家も物語で感じているよりずっと小さかった。冬の家は中にハイジとペーターの模型も置いてあり、なかなか面白かった。
 ちなみに、ここには本が一杯展示してあったのだが、日本語では「ハイジ」と書くが、スペルを見ていると、「Haidi」がほとんどで、「Haidy」というのもあった。村に出ている標識はすべて「Haidi」である。村では日本人もよく来るんだろう、日本語の絵本もいくつか売っていたが、その中には「ハイディ」と書かれていたものもあった。


 この小道、なんか見た事ありません?
 そう、ハイジのアニメの中に出てくるデリフリ村の小道です。本当にデリフリ村というのもあり、マイエンフェルト近郊のぶどう園が広がる所ではこんな小道が続いているのです。


 5時間のハイキングは結構、疲れたが、素晴らしい景色に包まれた事もあり、ものすごく贅沢な気分になった。特別な観光施設を作らず、それこそゴルフ場を作れば沢山作れる土地があるのに、昔ながらの景色を大切にしている、そんなスイスの人達の心の贅沢を少し味わった気がする。生活はきっと貧しく、冬には沢山の雪が積もりけして楽では無いと思うが。
 帰りにスーパーで食料品とワイン、チーズを買って宿に帰る。チーズを食べながらワインを飲み、いろいろと雑談を楽しむ。なんと贅沢な時間だろうかと思う。明日は晴れたら隣の駅で見かけたロープウエーに乗ってみようと思う。



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