ヨーロッパ旅行総括


 はっきり言って、1ヶ月は長かった。正直、30日くらいになると、「帰りたいな〜」という思いがちらほら出てくる。もし、旅行を楽しいまま、終わらせたいのなら2週間くらいで帰ってくるのがお勧めである。(^^)
 しかし、1ヶ月、曲がりなりにもヨーロッパで過ごし、1ヶ月いたからこそわかったという事もある。今回の旅行を総括するにあたり、いくつかのパートに分けて整理していく事にする。
 ただし、あくまで僕が感じた事であり、僕の私的意見であるので、間違っていても責任は持ちませんが・・・。



配電線

 やっぱり、配電マンとしてはこれを記録しておかないといけないだろう。(^^)
 今回尋ねた町は、どこも景観を大切にするため、ほとんどが地中配電である。だから実にすっきりした街並みだ。しかし、そのせいで外灯をつける柱も無い。路面電車が沢山走っているが、その架線を留める柱も無い。どうしているか?そう、道路わきの家々にアンカーを打ち込んでワイヤーを張り、そのワイヤーに取り付けている。個人の家だろうがお構いなしだ。必要な所に必要なだけ打っているのだ。
 現場で支持点交渉や敷地交渉をしている人はすぐにわかるだろうが、最近は自分の家に電気を送るためであっても電柱は嫌、家に傷をつけるのは嫌、だけどそのためにお金を出すのは嫌・・・・・(−−)。
 社会に対しての責任感の持ち方が違うのだと思う。電車やバス、特にバスなどはお客さんが「切符を買って乗っている」事を信じているシステムである。たまに切符を見に来る事があるらしいが、今回は会わなかった。つまり、切符を持っていなくても乗れるのだ(スイスのバスは違いましたが)。
 全員とは言わなくても、多くの人はちゃんと切符を買って乗るのだろう。バス会社がつぶれないくらいには。(^^)
 何年か前、阪急電車が何十億(何百億だったかな?)を投資してキセルを防止するシステムを導入した。これで年間、数十億の被害が減ると言う事だった。改札のシステムがあってもこれが日本の(関西のかな?)現状なのだ。

 責任に対する意識の差はあまりに大きい。日本人の責任感が「人に対して」なのに対して欧米の人は「自分の義務に対して」だと思う。これは初めてアメリカに行った時から毎回、感じている事である。だから日本人は「ばれなかったら・・・」という発想が出てくるのだ。警察でわめきまわる酔っ払いに住所と名前を尋ねたとたんにおとなしくなると言う。


 あっ、勘違いしないで下さいね。海外に出ると日本の事がよくわかります。つい、日本の悪い所を書いてしまいますが、いい所も沢山あるわけで、ただ、自分が日本人のため、外国の良い所が沢山、見えるのです。少しでももっと日本がよくなればいいな〜という思いからです。だから次世代を担う息子を必ず連れて行くのです。




宗教・芸術

 ヨーロッパは宗教と芸術を抜きには語れないという事を初めて知った。パリの街中、ドイツの中世の都市、スイスのベルン、ベルギー。どこをとっても遠い昔から引き継がれてきた美術品が街中に溢れている。美術館も整備されており、子どもは無料といった所もあった。こんな環境で育つのだから、自然と芸術に対する目が出来るのだろう。良質の芸術を肌で感じる事が出来るのだ。
 また、どこに行っても教会があり、日曜日にはミサが開かれ、店は休んでしまうのだ。日本なら休日が稼ぎ時だろう観光地の店が、である。キリスト教の教えに添えば日曜日は働いてはいけないのだから。確かに開いている店も結構あるが、基本的には休みだ。「金儲けより大事な物」が生活の中にしっかりと根付いているのである。
 また、中世の絵画等の多くはキリスト教に関わっている。今回、感激した「神秘の子羊」や「マリア被昇天」等、すべてキリスト教関係で教会の中に安置されている。

 20世紀に入ってからのマグリッド等の例もあるが、今回の旅行でどっぷりと様々な芸術(それこそ町の大道芸人まで含めて)に漬かった僕は、自分がこんな風に絵や彫刻を「綺麗だな〜」と興味を持つようになるとは思ってもいなかった。今までまったく興味が無かったのに、たった1ヶ月程いただけで、である。生まれた時からこんな環境で育っているヨーロッパの人達の方が近代的なビルディングが建ち並ぶ日本人より芸術に対して感性豊かなのは充分、うなずける話である。だから芸術を目指す人はヨーロッパにくるのであろう。

女性達

 女性達を何故、ここに入れたかと言うと、今回の旅行は女性の美に目覚めた旅行でもあったからだ。前述したが、絵画に描かれている女性の裸体も街中や美術館に置かれている彫刻も、けしてほっそりしてはいない。ふっくらとしたその裸体は健康的な美しさを持っている。これらを見ていると、日本女性がダイエットに一生懸命になるのがいかに馬鹿馬鹿しいかがよくわかる。欧米人がダイエットというのは、日本人の太っているとは全然、レベルが違うのだ。それこそ痩せないと健康に悪いのである。「日本では10年に一人しか見ないデブを向こうでは1日に30人は見ますから。」とは、学園でホームステイに行くときに英語を教えてくれた大学生の言葉だ。
 そしてもうひとつ。リドだけではなく、パリの街中やドイツのフリードリッヒ浴場でも感じた事だが、女性達が「自分の見せ方」を知っている事である。パリではタンクトップというのだろうか、俗に言うヘソ出しルックなのだが、上に着ている服は肩口は紐、体にピッタリと張り付き、乳首の形まではっきりわかる姿で歩いているのを何人も見た。若い女性だけではなく、結構、お年を召した方も。共通しているのはどの人もスタイルがいい事である。フリードリッヒ浴場では、浴槽に入ってくるときに何気なく両手で髪を掻き揚げるようにしながら足を少しクロスさせながらハスに入ってくる。見てみると判るが、すごくバストから腰、足首に至るまでのラインが美しい姿勢だ。これも一人ではない。すべての女性がとは言わないが、多くの女性がこのように自分を美しく見せる方法を知っており、遠慮なく見せびらかしているのだ。
 物を贈る時に「つまらない物ですが」という日本と「いい物ですからどうぞ」という欧米の文化の違いがそのまま出ているように思う。
 まあ、日本では「控えめな大和撫子」が好まれるのは確かだが・・・・・。



ドライブマナー


 全体的に感じた事は、「大人の社会だな〜」という事だ。はじめ、ドイツのドライブは非常にしんどかった。しかし、街中のわかりにくい道を除いてはそうでもなくなってきた。それは、「車線変更が簡単に出来る」と言う事だ。車間が短いのは日本の比ではないが、横に車がいなければ、車線変更が可能なのだ。指示器を出したとたん、アクセルを踏み込んで詰めてくる車など、絶対にいない。これがわかってくると、僕のように道に不慣れな人間には非常にありがたい。突然出て来た標識に慌てて進路を変えても、大丈夫なのだ。一度に2車線をまたぐ車線変更だって簡単に出来る。他人のする事を邪魔しないのだ。
 初めは「なんてわがままなドライバー達だ」と思ったものだが、慣れてしまうとそうでもなかった。反対に日本に帰ってきてから、日本のドライバーを見て、「わがままなドライバーだな〜」と思ってしまった。(^^;
 ルールはひどく簡単なのだ。「人の邪魔をしない」、この一点に尽きる。
 でも、街中の道は非常に運転しにくかったので、やっぱり車では行きたくない・・・・。



鉄道

 鉄道は非常に発達している。慣れると日本よりはるかに快適だ。車内放送もほとんど無く、静かである。関空からはるかに乗った時、とにかく車内放送がうるさく感じた。そこまで言わないと納得しない日本人はなんなんだろうと思ってしまう。放送されてもドイツ語では聞き取れないため、全然役に立たない車内放送であったが(僕にとってはですが)、不便は無かった。その気になれば車内放送など、ほとんどいらないのだ。
 また、実にのんびりしている。大抵の所に行く電車は一時間に1本しか無い。ドイツもスイスもそうだった。乗り換え時間が30分ある等は普通の事なのだ。日本の電車事情とは全然違う。スイスは九州くらいしか無いのだから、日本並みの鉄道を走らせる事が可能だと思うが。まあ、生活のペースにそんなにまでは必要ないのであろう。
 しかし、いくつもの鉄道会社があるにもかかわらず、どこでどこまでの切符を買っても1枚の切符でOKだ。だから検札のたびに切り口が入り、3つも4つも穴があく事もある。また、改札が無いため、途中でちょっと寄り道は自由である。日本の鉄道よりもずっと快適に感じた。


カルチャー

 どういう題をつければいいか、よくわからないので、この言葉でくくってしまった。(^^;

 一番、感じたのはサービスに関して、である。日本のように「平等に」という気は全然、ないと思う。お客とサービスをする人との関係でサービスが変わってくる。だから片言でもいいし、とにかく、自分の意志をしっかり伝える事である。日本の「控え目」は向こうにすれば迷惑なだけだ。何をして欲しいのかわからないからだ。

 持っていった料理を見て不思議そうに見ているわりには何も言わない。もしかしたらオーダーを間違ったのかな?でも、何も言わないからいいか。もしかしたら適当に持っていっても何も言わないかも知れないな〜。

 なんて事を思っているかも知れない。今回の旅行中も持ってこられた料理がわからない事は何度かあったが、訊けばちゃんと教えてくれる。言葉では無理な時でもオーダーをしたメニューを持って来て、指差して教えてくれる。とにかく、はっきしりた意思表示をする事である。それはそのまま、自分の事に責任を持つ事なのだ。向こうが気が付いて何とかしてくれないかな〜なんて事を思っているから、何とかしてくれないと不満に思うのだ。そういった意味で、「大人だな〜」と感じたしだいである。なかには白ワインを頼んだのに赤ワインが出てきて、「白ワインを頼んだんだけど」というと、露骨に嫌な顔をされたりした事はあるが、こちらは気にする事は無いのである。向こうが嫌がろうがどうしようが、お客はこちらなのだ。その態度が気に入らなければノーチップでいいし、思った以上に親切にされて気持ちがよければチップを多めにおけばいいのだ。チェックを済ませてチップを机の上に置くと、平然と、「For me?」と訊いて来る。嬉しそうに「Thank you!」と取って行く。もちろん、おいていなくても要求される事は無いし、嫌な顔もされない。あちらにすればそれはお客が自分達の仕事をどう感じたの結果であり、仕事そのものの評価ではないのだ。だから、実に堂々と自信を持ってサービスをしてくれる。まあ、堂々とオーダーを忘れたりもするが・・・。(^^;

 日本人にはなじみが無いため戸惑いがちなチップだが、慣れるとなかなかいい制度である。サービスを受けた時、そのサービスに対する評価を下す事が出来るのだ。なかなか面白い。(^^)

 質問への返答も日本とは違う。例えば、何かが出来る時間を聞いた場合、日本なら確実に出来る時間が返ってくるだろう。しかし、スイスのホテルでは荷物を運べる時間を聞けば、その人が可能な早い時間を言ってくる。そして一生懸命、自分の方の用事を済ませて駆けつけてくれる。実際には5分くらい遅れたが、考えてみればそういう時間の言い方をするのだから、遅れるのはあたりまえなのだ。時間どおりというのがどちらかというと珍しいのだと思う。
 列車のシートの予約を頼んだときも「必要ない」と平気で言う。もし、予約をしていなくて座れなかったら、日本ならそれこそ苦情になるかも知れない。しかし、平気でそういう事をいうのである。「必要ない」といわれても、「それでも予約をしてくれ」と言えば、してくれたとは思う。この辺りが「自己責任」と言われるゆえんであろう。つまり、相手から情報を貰っても、それをどう判断してどう行動するかは自分自身の責任なのだ。

 それと、ちょっと日本人には目に余る習慣が・・・・。洋画の中でよく、街中でラブシーンを演じているカップルがあるが、これ、ごくあたりまえの光景でした。(^^)
 一人の時、ドイツで泊まっていたホテルは中央駅だったため、朝から別れのシーンを演じているカップルがた〜くさん。もう、ハートマークが飛び回っています。(*^^*)その横を平然とみんな歩いています。街中でも、電車の中でも・・・・。混雑したバスの中で椅子に座ったカップルが顔を近づけて話をしていると思うと・・・・(**)。もう、至る所で見ました。


 様々な事を感じたこの37日間。今はしょっぱなにあんなに嫌だったパリの事を「見落としたものを見に行きたい」と思っている。
 様々な事があり、今まで経験した事の無いアクシデントもあったが、とりあえず、無事に日本に帰る事が出来た。それだけでも、成功かも知れない。
 後はクレジットカードの請求が怖いが・・・・(^^;


ガイドブックについて

 最後に一言、もし、ドイツ・スイス(アルプス)・ベルギーを旅行に行きたいと思ってガイドブックを研究している方。はっきりいいます。「ガイドブックは参考にはなるが、あてにはならない。」という事です。現地で必ず確認をする事をお勧めします。特に店の場所などは近くまで行けば住所で探す事です。今回行った店の中では地図の所で見つけたのは1件だけでした。同じブロックで方向が違うとか、ブロックが違うなんていうのもありました。ちなみに一種類のガイドブックの話ではありません。今回、スイス・ドイツでは2冊、ベルギーでは3冊のガイドブックを参考に持っていました。
 このあたりも行く人の「自己責任」の範疇だと僕は思います。


豆知識

 写真を撮る時、「はい、チーズ。」「1足す1は〜」等といいますが、じゃ、英語では?
 今回、偶然聞いたのですが、思わずニタ〜となるような・・・・。正解は「Money」。そう、お金です。(^^) 日本語では「マネー」とかかれますが、発音を聞いていると、「マニ〜」でした。いいと思いません?


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