ロンドンの地下鉄


 大英博物館とナショナルギャラリー以外はどこといって特別惹かれる所が無かったため、取り急ぎ全体を案内してくれる半日市内観光は手頃だった。自分で行く予定の大英博物館もナショナルギャラリーもコースには入っていないし。例によって「マイバス社」のツアーである。

 朝、目が覚めて時計を見ると3時過ぎであった。まあ、7時頃から寝ているのだからそんなものといえばそんなものだが。朝食まではまだ間があるし、特に無理矢理眠る事も無いだろうと、本を読んだりパソコンを打ったりしながら朝食の時間を待った。
 7時過ぎ、朝食を取りに1階のレストランへ。入り口で部屋番号のチェックを受けるとバイキング形式(この言い方は日本独自らしいが)の朝食を取る。取りすぎないようにと注意をするのだが、それでも普段に比べると多めの朝食となった。ただ、ホテルの規模に対してはそんなに種類は多くないように感じた。ドイツのシュトゥッツガルトで泊まった時はもう少し小さいホテルだったと思うが、倍くらいの種類のパンやチーズ、ハムが並んでいた。でも、まあ、充分ですけどね。

 「8時には出た方がいいです。」とANAの係りの人から聞いていたので、7時45分くらいに部屋を出る。最寄りのウエスト・ブロンプトン駅について切符を買う。ワンデイチケットは9時30分からのオフピークチケットとそれより高い目のワンデイ(ピーク)チケットがあった。時間からして僕は当然、ピークのチケットを買う。しかし、英語がうまく通じない。思わず、チケットの値段、「ファイブポンドサーティーチケット、プリーズ」と言った。これはちゃんと通じて欲しいチケットを買う事が出来た。
 改札を入り、さて、昨日、ANAの人はどっちのホームって言ってたっけ?と思っていると後ろから、「おはようございます。」と声が聞こえた。昨日の親子連れのお母さんが僕を見つけて声をかけてきたのだ。「マイバスに行くんですね?」と聞くと、「ハイ」と答えが返る。娘さんが駅員さんに聞いて切符を買っているようだ。しばらくして駅員がその娘さんと一緒に中に入ってきて、目的の駅、ピカデリーサーカスまでの行き方を教えていた。実はこの時、僕は前日に何の準備もしなかったため、路線図の見方がまだ把握できていなかったのだ。これ幸いとばかり、その親子連れについていく。ギュゥギュゥ詰めの車内はさながら日本の満員電車だ。「3つ目の駅で乗り換えって言ってました。」と娘さんが教えてくれた。路線図を見ながら「ここですね。」と降りようとすると、「えっ、もうひとつ先ですよ。」との事。僕も正確に駅名を見ていたわけではないので、その言葉に従い、もう一駅、乗り越した。しかし、やっぱり、一駅過ぎていた。昨日、ANAの人が「改装中で停まりません」と言っていた駅があるのだが、その駅を含めて3駅だった。でも、停車数で言えば2駅目で乗り換えだったのだ。


反対方向の電車に乗り、一駅戻ると、乗り換えのホームを探す。この時も僕はまだ見方が分からず、「こっちみたい」と歩いていく娘さんについていった。途中で気さくに駅員さんに声をかけて行き先を聞いている。自由にしゃべる事が出来るのはいいな〜と思いながら、迷路のような地下鉄構内を抜けていく。

 乗り換えホームに出るとすでに列車が入っていたので、急いで乗り込む。電光掲示板の行き先だけは確認する事を忘れなかった。そして、ようやくこの頃になって地下鉄路線図の見方が分かったのだ。


 駅から地上に出ると、目印の「三越」が目の前にあり、すぐにその向かいにある「マイバス社」につく事が出来た。8時30分過ぎ、まだあいていないようで表で人が列を作って待っていた。中に入り、予約の紙を見せて手続きを済ませると、出発の時間を待った。



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