デジカメを求めて

 朝起きて窓から外を見て天気を確認する。この部屋は、窓を開けると目の前に台北101が見える。下を見ると傘を差している人と差していない人、両方とも歩いている。台湾に来る直前に発生した台風9号のおかげで、天気は不安定だ。

 時間は少し早かったが、朝食がついていないプランでの宿泊のため、途中で朝食を取る事にして、取りあえず出かける事にした。

 グランド・ハイアットは地下鉄の駅まで少し離れているが、歩いても10分かからない。方向を確かめると「市政府」の駅を目指して歩き出した。途中、右手に市役所を望み、通勤する人に交じりながら「市政府」の駅に着いた。

 地下に降りると目的の「台北車站」までの切符を買う。ちなみにこの「站」というのは駅という意味らしく、地下鉄でもバスでもこの字が使われている。バスで次のバス停は「下一站」と出てくる。しかし、駅の名前にこの字が入っているのは多分、この駅だけだと思う。英語ではタイペイ・メイン・ステーションであり、地下鉄を利用していると必ずといっていい程、よく通る駅である。

 「市政府」から数えて6つめ、「台北車站」につくと地上に上がる。時間はまだ9時前。ガイドブックによると店が開くのは10時頃からとの事であったが、取りあえず見に行った。

 買おうと思っているのはニコンの4100か5100、またはキャノン製である。無くしたデジカメはニコンの3100だ。台湾で買うのだから、当然、説明書は中国語であろう。デジカメのメニューは多分、中国語以外に英語には最低、対応しているだろうし、多分、日本語にも対応していると思われる。だから、同じニコンの後継機種であれば、殆ど説明書無しで使えるであろう。また、普段使用しているフィルムカメラはキャノン製の一眼の為、操作系は同じだろうから、キャノンでも大丈夫と考えていた。

 「博愛路照相街」についたが、ものの見事に閉まっている。しかし出ている看板は、確かに一大カメラ店街である。ニコン、キャノン、ペンタックス、とにかく、賑やかな看板が所狭しと掲げられている。10時頃にまた来る事にして、取りあえず朝食を食べる事にした。近くにあった、地元の食堂のような所が、表で餃子のようなものを焼いているのに惹かれて入る。すぐに主人がメニューとともに紙とボールペンを持って来た。紙に書いてある漢字を見ながらどんなものか想像するが、正直、よくわからない。どのメニューにも大と小があった。よくわからないまま、麺類と野菜炒め、焼きめし、葱という字と餅という字が入った食べ物の4種類を頼んだ。
 しばらくして、空芯菜の炒め物、焼きめし、牛肉の煮たものがタップリ入ったうどんのような麺が出てきた。全部、小で頼んだのだが、結構な量だ。しかし、どうも牛肉の煮た物についている何かの香料だと思うが、匂いが気になり、あまりおいしくなかった。逆に、この匂いが好きな人ははまるんだろうな〜と思いながら、重たい箸を進めた。餅と書かれていた食べ物は、多分、餃子のようなものだろうと、これを一番楽しみにしていたのだが、3つだけでも結構な量で食べあぐねていた。結局、忘れていたようで出てこなかったが、それはそれで幸いであった。230元を支払い、外に出る。まだ9時半くらいなので、その辺を一回りしてみる。連れ合いに「三明治」と書かれているのがサンドイッチだと教えて貰い、ちょっとビックリする。予備校が多いのか、あちこちで学生らしき人ががうろうろしている。

 スターバックスを見つけて、カフェラッテを飲む事にした。1階で頼み、2階の席で下の道を見ながらカフェラッテを飲む。世間は平日である。忙しそうに配達の車やタクシーなどが通り過ぎていく。店内のあちこちのテーブルで、学生らしき人達がノートやパソコンを広げて熱心に勉強していた。

 ようやく10時を過ぎ、スターバックスを出てカメラ店街に向かう。でも、相変わらず開いていない。健康器具を売っている店がいくつか開いているが、カメラ店は殆ど開く様子も無い。小さな店の前で女性が掃除をしていて、その店は開けていたので覗いてみるが、小さな店で品揃えもあまりなく、目当ての物は手に入りそうになかった。
 「三越に行ってみる?」という連れ合いの提案にのり、駅前まで戻るが、やっぱり開いていない。開店時間は11:00〜22:00と表示されていた。どうも、台湾の生活は朝は遅く、夜も遅く、という感じである。

 デジカメは後回しにして、取りあえずJCBプラザに行く事にした。地図で見ると一駅先の「中山」だが、駅の地下街がつながっているのか、「中山站地下街」と書かれた矢印があったので、歩いて行く事にした。駐車場の隅を横切り、綺麗に整備された地下街を歩いていく。途中、人工の川が流れているような空間もあり、落ち着いたスペースではあるが、店もなく、歩いていてもあまり面白くないので、地上に出る事にした。

 中山北路を北に向いて歩く。交差点を渡るのに地下道を通ると、中でいくつも露天が開いている。やがてJCBプラザが近づいてきてガイドブックの地図を確認するが、ふと気になって、出国前にJCBラウンジで貰ってきたパンフレットで場所を確認すると、ガイドブックの地図と2ブロックも違っていた。今いるすぐ左手のビルの6階であった。

 エレベーターで6階に上る。ドアが開くと目の前に藤原紀香のポスターが。なんと、レオパレス21があった。右手にJCBプラザ。入り口を入っていくと小さいながらこぎれいなスペースがあった。入り口左手に手作りの情報紙が淡水や故宮博物館というように種分けされて置かれている。故宮博物館と淡水の物を貰って帰ったが、これは結構、役に立った。
 奥から女性が2人出てきて対応してくれたが・・・。「マッサージの予約をして欲しいんですが」というと、先ほどの手作り情報紙の中からマッサージ店が載っている物を持ってきて、「ここから近いところですと、こちらですね。特に予約しなくても、直接行けば大丈夫です。」との話。しかし、正直言って、今まで行ったJCBプラザの中では一番、やる気の感じられない所であった。MRTの一日チケットの事など、いくつか聞きたい情報があったのだが、めんどくさそうな対応にあうと聞く気もしない。早々に先ほどの情報紙を何枚か貰って引き上げた。

 教えて貰った近くのマッサージ店、「温莎堡視聴理容中心(ウインザー)」に向かう。でも、JCBの「SHOPPING & DINING PASSPORT(JCBの海外での割引情報などが載った小さな冊子)」では「JCBプラザでご予約の上・・・」と書かれているのに、前述のように予約してくれなかったので、直接行っても割引は可能である。店の前で「ここかな?」とうろうろしていると中から男の人が出てきて、私達が持っていたJCBプラザで貰った情報紙を見つけて、「ウインザー、ここ。」と中に案内された。
 椅子に座って、全身マッサージと足裏マッサージを頼む。両方で一人2200元。JCBで5%引きである。全室個室と案内に書いてあったので、連れ合いと別の部屋になると思っていたが、案内された部屋は2人用の個室であった。二つのマッサージベッドで2人一緒にマッサージを受ける。全身マッサージをしている最中に足裏マッサージを一緒にやっていく。初め、90分と30分で2時間くらいと思っていたが、同時進行なので、90分であった。しかし、タイではあれほど痛かった足裏マッサージが全然、痛くない。もしかして、それだけ体の悪い所が直ったんだろうかと思ってしまう。気持ちのいいマッサージについうとうととしてしまう。
 90分が過ぎ、まだ半分寝ている体を起こした。
 服を着ると入り口で精算をし、外に出る。台湾に来て思うのは、建物の中と外の温度があまりに違う事だ。建物の中は効き過ぎる程エアコンが効き、おかげで建物の外に出たとたん、湿気の高い事もあり、メガネが曇る。なかなか体が慣れない。

 「三越に行ってみよか。」との連れ合いの提案に、ウインザーから5分程の三越へと行く。入り口にある館内案内を見ると、どうやら最上階にそれらしき売り場がありそうだ。
 エレベーターで最上階へ。正面にコーナーへの入り口が見える。中に入り、右を見るとパソコンが並んでいる。一眼のデジカメを見つけ、そちらに寄っていくと、連れ合いが、「これちゃうん。」と隣のコーナーを指さす。あった、あった、コンパクトデジカメの一群だ。最初にニコンを見るが、すでに5100等も過去の物になっている。最近はデジカメを買う予定が無かったので、デジカメに対する情報をまったく見ていなかったが、400万画素はすでに過去の物で、並んでいるのは600万画素の物であった。ニコンのデジカメを出して見せて貰う。しかし、バッテリーが専用の型だった。過去に専用バッテリーのデジカメで苦労した経験から、単3電池の使えるデジカメと思っていたので、ニコンはやめ、幸い、すぐそばに置いてあったキャノンのデジカメが単3電池を使う型だったので、今度はそちらを見せて貰う。メニューが日本語に出来る事も確認し、撮影や再生等の操作がひととおり出来る事を確認して、そのデジカメに決めた。キャノンのPower Shot A540、512MのSDカードも一緒に買う。すぐに使おうと思っていたので、店の人が保証書を書いているうちに、カメラに手持ちの単3充電池を入れ、ストラップを通していると、気がついた店員さんは、カバーにストラップを付けてくれた。デジカメのメニューを日本語に設定してくれて、日時の設定もし、もう一度、操作の説明をしてくれて渡してくれた。なかなか親切な店員さんだった。「保証は1年、台湾国内のみです。」との話だが、まあ、仕方がない。
 支払いを済ませると、やっとデジカメをゲットした。




 記念すべき一枚目の写真。この写真を撮ったデジカメを買ったお店の入り口である。





 デジカメをゲットし、やっと台湾旅行、本格始動である。



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