モンサンミッシェルと夜のシャンゼリゼ通り

 昨夜の雨から朝を迎え、心配なのは天気です。一応、上がっているものの曇り空・・。昨日と同じ朝食を済ませ、8時にホテルを出て、待ち合わせ場所のオペラ座裏、ギャラリーラファイエットの一角にきました。それらしきバスが一台、添乗員さんに名前を確認して貰ってバスに乗り込みました。驚いたことにもう殆どの今回のツアーの参加者はもうバスに乗っていて、さすが日本人の集団ですね。行きは34人と言うことで、相席をお願いしますと言われ連れ合いは知らないおじさんと隣通しになりました。座席は、飛行機よりはずっと快適で足下をあげてリクライニングすると連れ合いは結構寝られたみたいです。


 これは途中のサービスエリアで撮った写真。真ん中の黒いバスが今回のバス。このバスのシートは実に快適だった。飛行機のプレミアムシートより良かった。おかげで途中、記憶がない所もあったが・・・。隣に座られたのは、かの有名企業にお勤めで、ロンドンに単身赴任をされている方だった。今までにあちらこちらの海外赴任を経験されており、ご家族が一緒だった事もあるが、今回は子どもの学校などの事もあるので、お一人で赴任されているとの事でした。せっかく、ヨーロッパに赴をしてきたので、今までに来た事のないフランスに来られたとの事。ユーロスターで2時間半なので、近いのは近いのだが、入出国の手続きが結構、面倒だとの事。私達の様に短期の観光で来る人間はビザもいらないが、イギリスには業務用のビザで滞在されて、そこから観光でフランスに来るので、まず、単身赴任をしているといったような書類を書かなくてはいけないらしい。その他にも、今まで赴任されてきた国の事など、色々とお聞きして、結構、楽しい時間を過ごす事が出来た。



 「現地のお天気はどうですか?」と添乗員さんに聞くと「ノルマンディのお天気は変わりやすくて、たとえちょっとの間晴れることがあっても今日は一日こんなお天気でしょうね。」と言われてしまいました。がっかりです。あろうことか雨脚は次第に強くなり、気分は最悪・・。過去二回のモンサンミッシェルは快晴でその景色のすばらしさに心が躍る経験をしていただけに、それを父に見せたかったんですものね。

 途中のトイレ休憩のサービスエリアもおなじみの場所でした。今回は、時期的にツアー客が多いのか、女性トイレの数では時間的にまかないきれず、ごく普通に男性トイレの個室に女性の行列が出来ています。私も迷わず、男性トイレに並びました。早く済ませた父と連れ合いは店内をウロウロして写真を写して注意されたそうですが、私はそういうこともなく数枚撮影しました。父は毛糸の手袋が買えてご満悦です。
ここは、冷たい風が凄てなんとなく憂鬱になりましたけどね。

 風が強すぎるせいで、前回は出入りの出来た、バスを停めている側の自動ドアは閉鎖されており、反対側に回らないと行けない事になっていた。中に入ると、まずトイレに。一瞬、「男子トイレは?」と思うくらい、女性の列が・・・・男性トイレの個室の前に・・・・。ガイドさんが、「トイレの数が少ないので、女性の方でどうしてもトイレに行きたい方は、まず、トイレに並んで下さい。」と言っていたが、若い女性もお年を召した女性も、お構いなしに男子トイレに並んでいた。こちらが入っていくのに気を遣うような状況であった。大の方をしたい男性がいた場合、災難だな〜と思った次第。


しかし時の女神はちゃんと私とモンサンミッシェルに付いていました。この後次第に空に晴れ間が増えていき、やがて日が差してきたのです。まだまだ雲が多い空ではありましたが、傘はもう無用の長物となり広い空間にモンサンミッシェルが浮かび上がっている様子がしっかり見ることが出来ました。
前にはなかったシャトルバスに乗り、景色を堪能しながらモンサンミッシェルの入り口に向かいました。




 まずはおきまりのランチです。名物のオムレツを食べないといけません。以前も訪れたレストランの3階に上がり、ひっつめて並べられたテーブルに、添乗員さんに言われるままに座っていきましたがとても狭い・・。いったん座るとトイレに立つのも大変でしたが、一度にトイレに行かないように言われるので、みんな上手に利用していました。さて、メニューは、スターターに小さなお鍋を型取った器にジャガイモのクリームソースとベーコン、ここで昨日の連れ合いのランチを思いだし、フランス料理には酪農産業の盛んなせいでクリームを使った料理が多いことに気がつきました。イタリア料理がトマトソースが多いのと一緒ですよね。私はやっぱりイタリア料理がタイプやなぁ・・。
次に出てきたオムレツはでかい!前回はもっと小さくてさほど感激もしなかったんですが、さすが「プレミアムモンサンミッシェル観光」だけ合って、オムレツはガイドブックに載っているのそのままの大きさでした。たっぷりクリーミーで味はやや淡泊。いくらでも食べられそうですが、私は味に飽きてしまって食べきれず途中で連れ合いの皿へ・・。まぁ、ランチとは言えワインをいただくので料理は少しでいいのです。連れ合いはジャガイモもオムレツも一人前半ずつお腹へ納めてしまいました。けっこうこの後お腹に堪えたそうです。


 本当に連れ合いの執念が実ったというか、「持っている!」というか、モンサンミッシェルに着く頃には見事に晴れ上がった。相変わらず風はものすごいが・・・。


シャトルバスの乗り場に着くと、ガイドさんが「シャトルバスが今、来ています。すぐに乗って下さい。今度はいつ来るか分かりません。フランスですから。」と叫んだ。この「フランスですから」はこれまでも、この後も何度か聞く事になるが、何となく分かる気がした。お義父さんが足が悪い為、すぐには降りられないだろうと思い、取りあえず、隣の人に先に出て貰う為、自分の荷物を慌ててどける。上着を棚から下ろした時、スマートフォンがポケットから座席に落ちる。連れ合いが、「何か落ちたで。」と教えてくれたが、すぐに「携帯や。」と答え、スマートフォンを拾うとポケットに入れ、奥に座っている人に出て貰う。外からはガイドさんの急がせる声が聞こえる、お義父さんが出入り口の階段の前で、横に置いた手袋を取ろうとしたので、その手袋を持ち、「取りあえず降りて下さい。」と下車を促す。そのままカメラの入ったリュックを持ち、連れ合いと3人でシャトルバスへ。ぎゅうぎゅうとまではいかないまでも、かなり混んでいるバスでモンサンミッシェルの入り口横の駐車場へと到着する。ガイドさんは昼食場所へと全員を誘導するので、取り急ぎ外観をカメラに納めながら、小走りでついていく。
 名物のオムレツは、確か、卵を6つ使っていたと思うのだが、この後、しばらく、このオムレツが私のお腹を占領する事となってしまった。



 さあ、いよいよミカエル天使に会う為に上へ上へと登っていきます。昨日に父が膝の痛みを訴えてから、果たして今日この強行軍に耐えてモンサンミッシェルを楽しんで貰えるかはあまり自信が持てなくなっていました。昨日より強力な膝のサポーターをして、何回も「大丈夫やで!」と言ってくれているのがもう気の毒な感じがしました。だめならあきらめて戻り、お土産屋さんで時間をつぶしていたらよいので、行ける所まで行こうと、添乗員さんについて出発!初めの階段はやはり一番ハードで、父は息を切らしていました。
昔から父は健脚で今も毎朝1時間の散歩をするなど、どこまでも歩けると自信を持っていたので、私はこのツアーにも全然心配はしていなかったのですが、昨日いつもの海外旅行のように行動していると、階段の多さと石畳に父の悲鳴が上がったのです。しかし考えてみると、膝の痛みは日本にいる頃から2週間に一回のヒアルロン酸と強力サポーターがかかせなかったのですから、簡単に考えても歩き回れる足をもう父は持っていなかったのでした。




 それに気がつかなかった罪滅ぼしに、私は片時も父のそばから離れずに、足下に注意し手や肘を持って支え、なんとか修道院内の観光コースを一緒に歩き通しました。「昨日よりはよっぽど楽やったわ」と明るい表情で降りてきた父にホッとしました。そりゃあこれだけ気を遣っている娘がぴったりそばにいてれば、心強かったでしょうね、パパ!
下のお土産屋さんで祝杯を挙げる気持ちでクッキーなどのお土産を沢山買い、買い物もいっぱい楽しみました。私はお目当ての一つだった、かわいいデザインの絵葉書もたくさん買い求め、この地方の塩やマカロンもゲットしました。スーツケースに入るかなぁ・・?

 階段を上りながら、前回はあまり撮らなかった参道の風景を集中的に撮ろうと、カメラを構える。カメラのバッテリーマークが最後の一目盛りになり、ポケットに入れていた予備バッテリーの存在を確かめる・・・・?・・・???・・・・・・な・・・・・なっ・・・・・・な、無い!
 頭の中でバッテリーのありかを探す。思い当たるのは一カ所、バスの中だ。連れ合いが「何か落ちた」と言ったあの時、落ちたのはスマートフォンだけではなく、バッテリーも落ちていたのではないか。もしそれ以外なら、多分、見つかる可能性はない。最悪、無くしてしまっていたら、今カメラに入っているバッテリーだけでこの先、過ごさなくてはいけない。まあ、毎日、充電していれば大丈夫と言えば大丈夫なのだが・・・。
 残りのバッテリー量ではモンサンミッシェルの中を撮りまくるという訳にはいかない。バスにバッテリーがある事を祈りつつ、この先、中の写真は連れ合いの持つコンパクトデジカメにまかせて、お義父さんと連れ合いが入っている写真だけを撮る事にした。
 バスに帰ると、早速、座席の下等を探す。座席の上、棚の上・・・しかし、バッテリーは見当たらない。ガイドさんが帰ってきて、連れ合いが聞いてみてくれた。ガイドさんがドライバーに確認してくれると、あった、ありました。落としたバッテリーをドライバーさんが拾ってくれていました。助かった〜。



 帰りは、ここで一泊する人もいるらしく少しゆったり座れました。荷物が増えていただけに助かりました。そして、途中、可愛い木組みの家で有名なポントレック村に立ち寄り、レストランで夕食をいただきました。これは鴨か魚かを選んで、スターターは有名な三種類のチーズを載せて炙ったパンをのせたサラダ、そして鴨の足のローストか魚の、またしてもクリームソース、最後はラ・フランスのチョコレートかけ。レストランも可愛くて、フランスビールも美味しくて、ちょっとしつこい味付け・・まぁ、こんな物ですね。



 ポントレック村は本当にかわいらしい村で、クリスマスイルミネーションも控えめだが、綺麗に飾られていた。美味しい食事をいただいた後は、他の人より早く外に出て写真を撮る。レストランの入り口上部の看板を撮って、カメラを下ろすと、何と、私が写真を撮っている間、手前で車が待っていてくれた。こちらを見ているドライバーに手を上げると、うなずいて車を発進させた。まあ、親切な人であった。

 そして、バスはパリに向かいます。しばらくは夜の高速道路で何も見えませんが、市内に入ると突然「皆様、お疲れ様でした。」と添乗員さんの声で、びっくりして飛び起きます。そして、セーヌ川にかかる37の美しい橋や自由の女神、エッフェル塔のまつわる話などを次々と披露されて、ライトアップしたそれらを実際に眺めながらパリの夜景を楽しむことが出来ました。やっぱり夜景を撮りに行こうと連れ合いはその時に思ったのに違いありません。

 やがてマドレーヌ寺院を後にしてオペラ座前に到着です。添乗員さんのお勧めのままに連れ合いも父もチップを運転手さんに渡して、モンサンミッシェル観光は無事に終了しました。よかったです。大きいお土産の紙バックが一つ増えて、ホテルに帰りました。そして、父を部屋に入れると、私達は顔を見合わせました。・・・すでに22時半を過ぎていますが、やはり行きますか!!




 ということで、シャカパンに履き替え毛糸の帽子を被って再び夜の街へ繰り出しました。マドレーヌ寺院寺院からコンコルド広場へ行ってエッフェル塔のシャンパンシャワーを見ることが第一の目的です。これは、毎正時に5分間だけのライティングだそうで、11時を逃すまいと急ぎました。そして、カメラの位置を探し、シャンパンが煌めくのを待ちました。「うわぁ・・」と思わず声が出ましたよ。このきらめきを一度見てしまうと、ただのライトアップは単なる屁のカッパとなります。








 それから、凱旋門を目指してシャンゼリゼ通りを歩きました。昼間に父と一緒に歩いた通りで、クリスマスの出店が所狭しと並ぶ中、人人人に加えて車車車の通りです。もちろん光り光り光り・・・(^^)。夜景を撮りたい連れ合いのお供でしたが、結構頑張って歩きました。もう、真夜中だというのにずっと雑踏が続き、これだけの人がここにいることがとても不思議でした。この時期だけこのマーケットで何かを売る人たちもどうやって集めるのかなぁとも思いました。







 帰路に見たマドレーヌ寺院は、あの大きな柱の色が少しずつ変わっていくライトアップで、幻想的な雰囲気を出していました。後で写真を見るとマドレーヌ寺院の写真が私は一番好きでした。それにしてもこのパリの街のライトアップは何なんでしょうかね?




 ホテルを出たのが22時半過ぎ。23時のシャンパンシャワーを見てシャンゼリゼ通りを歩く。以前は深夜の外出はしなかったが、ホテルから近い事もあり、シャンゼリゼ通りの夜景が撮りたくて、思い切って出てきた。小さな子どもも結構、うろついていて、シャンゼリゼの賑わいはまるで20時頃のようだった。しかし、0時を回ると店が次々と閉め始めたため、一気に人通りが引いていく。シャンゼリゼ通りからマドレーヌ寺院の前へ。ライトアップの写真を撮り、ホテルへ帰る。明日はいよいよ南仏に向かって移動である。


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